エネルギー化の、その先へ
JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)は、7~8月にかけて、今後のメタンハイドレート開発を左右する極めて重要な民間委託業務の公募をした。その委託業務とは「第2回メタンハイドレート海洋産出試験時産出ガス有効利用の検討」である。
今年3月の第1回海洋産出試験で画期的な成果を収めたMH21(メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム)は、第2回海洋産出試験(2014年度以降)で商業化に向けた技術基盤整備の見通しを立てようとしている。次の海洋産出試験は、まさに乾坤一擲、日本の運命をかけた大勝負となる。そこに向けて、MH21をけん引するJOGMECは、産出したガスの「有効利用の検討」を民間に委ねたのだ。具体的な委託業務の内容は、次のようなものだった。
「……産出するガスを有効利用するためのシステムを定め、その概念設計を行う。ガスを有効利用するためのシステムについては、第2回海洋産出試験において産出時に使用する海上施設上または当該海上施設近傍の洋上に設置するものとし、以下を対象とする。
1.CNG(圧縮天然ガス)製造・運搬システム
2.発電システム
3.LNG(液化ガス)製造・運搬システム」(委託業務仕様書より)
ここからメタンハイドレート開発が、単にガスを生産するだけでなく、具体的な利用方法を射程に入れていることがおわかりいただけるだろう。陸地とガス産出海域の距離(50キロ)からすれば、実際に海底のメタンハイドレートからガス生産が始まればパイプラインで陸へ送ることが有力な選択肢となる。しかしながら、産出試験のために莫大な投資をしてインフラを建設するわけにはいかない。
そこで洋上の施設でメタンガスからCNGやLNGを製造して陸に運ぶ。あるいは、ガスを使って洋上発電し、利用できることを実証しようというのだ。現実にCNG車が道路を走り、LNGが陸のガスパイプラインに送られたら、メタンハイドレートのイメージは劇的に変わるだろう。使えるエネルギー資源としての存在感は飛躍的に高まる。日本のエネルギー資源のカードにスペードのエースが加わる。
では、この重要な委託業務の公募で、どんな企業の提案が採択されたのか?