ここで欧州連合(EU)の主要国の製造業生産の動向を確認すると、ドイツの厳しさが浮き彫りとなる(図表1)。EU全体の製造業生産の回復を牽引しているのは、フランスとスペインである。一方、重荷となっているのがイタリアとドイツだが、2025年の半ば以降は、ドイツだけが減少しており、事実上の“一人負け”となっている。

実のところ、これは連立のパートナー政党のうち、中道左派の社会民主党(SPD)の所属議員に対するメッセージだったのではないだろうか。メルツ首相が率いる中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)と姉妹政党・同社会同盟(CSU)は経済界寄りだ。一方で、SPDは労働界寄りであり、コスト高をもたらした張本人でもあるためだ。

コスト高を招いたショルツ政権

エネルギーコストの問題に関しては、国内で原発の稼働延長を求める声が高まっていたにもかかわらず、それを断行した。これには、当時、SPDと連立を組んでいた緑の党の意向が強く働いたようである。脱炭素化を重視して石炭火力を使わないなら、原発の稼働を延長した方が、ドイツはエネルギーコストの膨張をもっと抑制できただろう。