「家族」をめぐる価値観の変化

大手マスコミでは、たとえば、フジテレビ「Live News イット!」が「スルーできず“帰省ブルー”なぜ拡大? 今年の事情」と題して、増税や大型連休の重なりによって、帰省せざるを得なくなったがゆえに、この傾向が強まったと、コロナ禍前の2019年の年末に報じた。このニュースを皮切りに、「夫の実家への帰省を思うと気が重くなってしまう現象」(フジテレビのニュースより)として、ネットだけではなく新聞やテレビでも使われていく。

こうして「帰省ブルー」は可視化され、タブーでもなければ、恥ずかしがるべきでもなく、逆に、堂々と、赤の他人と分かち合う感情だと認められたのである。

ただ、これだけなら、あいまいな思いがことばにされただけにとどまる。大騒ぎするほどでもない。そう思われるだろう。しかし、この「帰省ブルー」が孕んでいるのは、「家族」や「家庭」をめぐる日本人の価値観の変化であり、その点で興味深い。その変化とは何か。