2025年に日本国内で放送・配信されたドラマで、評価するべき俳優はだれか。ドラマ偏愛コラムニストの吉田潮さんが作成した「2025年俳優ランキング」を紹介する。第2回は女性部門ベスト5――。(第2回/全3回)
大失敗の月9があっても今年の森七菜はよかった
超主観&偏向的「ベスト俳優ランキング2025」、女性編をお送りする。男性編は「意外性」がキーワードになったが、女性編は「説得力」で選んだ印象もある。出ずっぱりの人も、寡作の人も、来年さらなる飛躍を期待してベスト5にしてみた。
5位 森七菜 31点
たった1作のエントリーだが高評価に値する「自然体」
森七菜はしっかり者じゃないほうが俄然活きる。ジャージでダラダラして、家族に当たり散らして、文句と愚痴を言いながらもメシだけはよく食う。そんな気質をごく自然に演じていたのが『ひらやすみ』(NHK)。男性編の岡山天音といい、どんだけ『ひらやすみ』好きなんだと思うが、七菜の名演に触れずにはいられない。
七菜演じるなつみは東京の美大に合格し、山形から上京。従兄(岡山天音が演じるヒロト)の家に居候させてもらう割に、最初っから文句たらたら。タワマンがよかっただの、肉食べたいだのと一切遠慮しないモンスターっぷり炸裂なのだが、そのふるまいこそが親戚ならではの近しい距離感だと伝わる。
好物が食べられるとわかって小躍りしたり、絵に描いたようにぶんむくれたり、子供のような幼さも芝居じみていなかった(大人が幼さを演じるって結構難しい)。漫画家を目指していることを隠しながら美大の絵画科に通う、自意識がちょいややこしいなつみを天衣無縫に演じた。
今年は映画での活躍も高評価と聞く(観てないんだけど)。悪夢のような月9失敗作はきれいさっぱり忘れて、「自然体」の高みをめざしてほしい。

