図を拡大
図表2 暮らしもままならない若手の賃金

では図表2の賃金はどうかというと、各年代ともにダウントレンドを示している。50代で35万円未満が41%から過半数超の51%へ増加。また、20代は25万円未満が全体の50%近くを占め、30万円未満でカウントすると約80%にもなる。しかし、ここでの賃金はあくまでも総額の数字。税金や社会保険料などを引いた手取り額は約8掛けといわれ、賃金の総額が25万未満なら手取りは20万円未満という計算になる。

「20代の単身者で都内にアパートを借りてとなると、生活するのがやっとで、貯金などとても無理という水準だろう。ましてや、結婚をして妻子を養うことなどとても難しいはず。こうした低賃金状態におかれていることが、結婚をしない若者の増加の要因の1つになっているのではないか」と北見所長は話す。

そして、北見所長が最も注意すべき点と考えているのが、図表3の50代の年収の賃金相場が初めて500万円台を下回り、481万2000円となったこと。実は年収500万円という数字は、社会保障制度が想定している

図を拡大
図表3 軒並みダウンする年収

「年収500万円で夫婦と子ども2人」という標準世帯の年収の水準なのだ。それを下回るということは、とりも直さず年金を含めた社会保障制度の前提が崩れてしまうことを意味するからである。

また、家計の見直し相談センターで1万世帯以上の家計診断を行ってきたファイナンシャル・プランナーの藤川太さんは「大手企業の間でも間接部門や業務部門の一部を本体から切り離して、新たに子会社をつくる動きが強まっている。そこに転籍する人員の給与は本体にいたときよりも低い水準に抑えられてしまう。大企業のホワイトカラーだからといって安泰とはいえない時代を迎えている」と語る。