デザインも機能も保守的で、ユーザー数が伸びなかった
「Pairs」「Omiai」「タップル」「with」といった主要プレイヤーをはじめ、現在マッチングアプリの数は100を超えると言われています。それらの中で、リクルートは比較的「後発組」でした。とはいえ、デジタル領域に強いリクルートです。さらに「ゼクシィ」というブライダル市場で圧倒的なブランド力も持っています。それでも専業勢の攻勢には抗えませんでした。
マッチングアプリのプロフィール添削などを行う婚活アドバイザーのおとうふさんは、この要因を「出会いの二極化」だと分析します。
「Pairs、Omiai、タップル、withの大手4社は圧倒的なユーザー数を背景に、心理テストやすぐ会える機能など多彩な機能を提供し、楽しみながら気軽に出会える設計になっています。一方、ゼクシィ縁結びは信頼性とユーザーの真剣度を売りにしていましたが、デザインや機能は保守的で、ユーザー数も大手に遠く及びませんでした」
近年、マッチングアプリに関係する詐欺やトラブルのニュースは増えています。それでもユーザーは信頼や安全面より、機能の充実度や出会いやすさを優先するのでしょうか。
おとうふさんは、「そうではない」と指摘します。
「ユーザーは安全性を無視しているわけではありません。しかし『有名であれば安全』という認識が強いので、そういった点でゼクシィ縁結びは大手4社ほど認知度が高くありませんでした」
女性無料の世界で「有料ならではの出会い」を提供できなかった
また、おとうふさんはゼクシィ縁結びが女性も有料(男女同額)だった点も不利に働いたと指摘します。
「マッチングアプリは口コミの影響が極めて大きい市場です。多くのアプリが女性無料の中、ゼクシィ縁結びにわざわざ有料で登録したのに期待以上の出会いが得られなかった――そうした不満がSNSで拡散されました。コロナ禍にはそれほど目立ちませんでしたが、ここ数年、X(旧Twitter)で『ユーザーの質が低い』『ハイスペックな男性がいない』といった声が増えていました。
機能も充実していない、UIも使いにくい、ユーザーの質も期待に届かない。『それなら無料アプリでいい』と女性ユーザーが離れれば、男性も集まらなくなります。婚活パーティーでも同様の現象が起きていますが、女性が集まらない場は持続できません」
