自衛隊の“忙殺”はどうなるのか

ただ、現代の自衛隊は忙しい。2015年に集団的自衛権の行使が可能になって以降、演習の相手が米軍だけではなくなり、英豪比など様々な軍隊との訓練が加わった。北朝鮮やロシア、中国との関係も緊張する一方だ。2022年から始まったウクライナ戦争では無人機(ドローン)の威力が再認識された。陸自はこれまで、災害派遣時の偵察用ドローンくらいしか保有していなかったが、来年度には「爆発的な勢いで」(A氏)、各部隊にドローンが配備される。すでに、一部ではドローンの操縦や整備、対処などについての訓練も始まっている。A氏は「地震や台風被害のように、何もない場所への派遣ならいざ知らず、バイトで済むような仕事であれば、自治体で何とか対応してほしいというのが本音です」と語る。

そんな悩める自衛隊に最近、ちょっぴり幸せなニュースが飛び込んできた。農林水産省は今年5月、各都道府県に対し、鳥インフルエンザ発生時の防疫体制について、民間事業者を最大限に動員することを前提とし、自衛隊の派遣要請は、行政機能の維持が困難で、やむを得ないと判断した場合にのみ検討するよう指示した。A氏は「これまで鳥インフルエンザで動員された要員の3分の1は自衛隊員でしたが、4分の1くらいまで減っています」と語る。B氏も「きっと防衛省が防衛族議員などに頼みこんだのでしょう。ドローンや宇宙、電磁波など、やらなければならないことが山積みの自衛隊にとっては朗報です」と話す。

あとは、人里に現れるクマが関東など日本全国に広がって、自衛隊が忙殺される日が来ないことを祈るばかりだ。

(牧野 愛博)
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