70代の親は年金暮らし、家計の赤字が加速
一江さんが20代の頃は、父親(73歳)もまだ現役だったので、習い事代をそれほど負担に感じていなかった。ところが、父親がリタイアして年金生活に入ると、一江さんの習い事代などが家計に重くのしかかってきた。もちろん、貯蓄を減らす大きな原因にもなっていく。習い事費の累計は少なく見積もっても年60万円で、約20年間続けているので、1000万円超は確実だ。
【家計収支】
収入 月28万円
支出 月35万~40万円
特別支出 年間40万~60万円
(家計支出の内訳)
食費 9万円
光熱・水道代 4万円
日用雑貨費 8000円
医療費 2万2000円
交通費 1万5000円
被服費 1万円
教養娯楽費 1万円
父こづかい 3万円
母こづかい 3万円
娘こづかい 2万円
娘習い事代 6万円
雑費 1万円
娘の国民年金保険料 1万7510円
合計 36万2510円
「習い事代の負担が重いから、もう少し減らしてもらえないか」と頼んだこともあったそうだが、「パパは私の夢を邪魔するの?」とキレて、話にならない。そんな状態が10年近く続いている。声優の夢を叶えられるとは、さすがに本人も思っていないようだが、「声優を目指す活動」だけが、今も一江さんの人生を支えている。
親としても、一江さんから好きなことを奪ってしまうと、家から出なくなってしまうのではないかという不安が募る。一江さんが学生で、通学できず、家に引きこもっていたときの家庭の暗い雰囲気を思い起こすと、「あの頃には戻りたくない」と強く感じてしまうのだそう。
以下、筆者(畠中)と父親とのやりとりである。

