葉山氏が入社したのは昨年11月。漢方デスクは今年1月にテストローンチし、4月から本格的なサービスを開始したというからかなりのスピードである。しかも漢方デスクに従事しているのは葉山氏1人。入社当初、エンジニアリングやウェブデザインの経験はまったくなかったものの、現在は自分でコードを書き、ページのデザインを行っているという。
1人でウェブサービスの開発ができるのなら、独立したままやってもよかったのでは、とここでも聞いてみた。
「いまの段階で1番大きいのは技術面です。実はクックパッドに入社する前、自分でサービスを立ち上げようとして本を読みながらチャレンジしてみたのですが、たいしたことのない問題ですぐ作業が2、3時間ストップしてしまいました。しかしクックパッドには優秀なエンジニアやデザイナーがいて、隣の人に質問すると2分で解決します。もう1つ大きいのはクックパッドのユーザーさんに漢方デスクを見ていただき、いろいろな形でフィードバックが得られることです」
葉山氏の話を聞いてもう1つ不思議に感じたのは、外部から突然、独自の企画を持って入社した人がそんなに簡単に受け入れられ、事業に邁進できるのかということである。
「突然、『漢方をやりたい』と言って入ってきたのですから、客観的に見たら変な人ですよね(笑)。ただ、会社としても『食のインフラになろう』という意識を強め、そこを支援していく気運を感じます。新しいチャレンジを潰さずちゃんと評価しようとする点で、マネジメントのメッセージも人事制度も社内の雰囲気も一貫しています。それと、自分で言うのはおこがましいのですが、どうしても社内だけでは『これまでのビジネスモデルを引っくり返すようなことをやろう』という話は生まれにくい。漢方という突拍子もないけれど食と健康という文脈に合ったサービスをつくろうとしている外部の人間を入れることで、イノベーションの歯車が回る環境を整えようとしているのではないかと思っています」(葉山氏)