一方、新規事業の現状について穐田代表、石渡COOはともに「まだまだ緩い」と手厳しい。

「クックパッドは営業利益率が50%以上あり、いい会社だといわれています。でもそれはかなり前に創業者がつくったエンジンで稼いでいるだけで、その後は新しいイノベーションを起こしていないんですよ。知名度が上がり優秀な人が来てくれるようになりましたから、その人たちに火をつけてイノベーションを起こす会社に変えるタイミングがいまなんだと思います。そこをシビアにやって、熱意に溢れたおもしろい会社にしたいです」(石渡COO)

「そもそも新規事業は成功する確率がきわめて低い。挑戦をすると最初にいくつかの失敗が顕在化しますが、その失敗経験をどれだけ糧とできるかが鍵です。ある程度の成功を見出すには2年は必要と考えています」(穐田代表)

かつて輝いていたが、いつの間にか事業が成熟し、成長性やおもしろ味を失った企業や経営者は珍しくない。そこそこ儲かっていれば無理に変わらなくていい、と考えるのが普通なのかもしれない。しかし普通ではないクックパッドの創業者は自らトップを交代し、次の成長フェーズに向けた体制を整えた。ここから先は後を託された者たちが、過去の成功体験を超える成功をつくれるかにかかっている。