子どもにベタベタしていないか、横柄な態度を取っていないか
対人距離を平たく言うと「年齢相応の人付き合いができるか否か」です。たとえば、幼い子どもが大人に抱きつくのは可愛いものですが、大人が小さな子どもにベタベタしてやたらと身体接触が多かったらどうでしょうか。身体接触はなくとも、子どもに対してのみ態度が横柄であることなども、対人距離の不安定さに含まれます。いずれも、成人しているのにそうした要素があるとすれば、大人としては人付き合いが不安定だと言えます。
子どもに対するわいせつ事件を紐解くと、①わかりやすくベタベタしているか、②日頃から子どもに対して横柄か――のどちらかいずれかに偏っている傾向が見られるようです。なので、上述したような二極化した関係者談が出てくるのでしょう。
子どもへのわいせつ事件は、対人距離の表れ方が極端な形式であると筆者は経験から考えています。子どもに対してベタベタするのはわかりやすいとして、子どもに横柄なのがなぜわいせつ行為につながるのか、読者の方はまだ疑問だと思います。それは後で触れていくとして、対人距離の表れ方の極端な形式がどのようなものなのかを例示していきます。
女児のトイレを「見てあげる」と付いてきた男性教師
①子どもとの距離感が近いタイプ
小学生に対して多いのは、相手がまだ幼いのに乗じた過度なスキンシップです。小学生くらいの子はそれを「変」だとは感じられないこともあるからです。
筆者の知る例では、女児がトイレに行くのにわざわざついてきて「ちゃんとできているか見てあげる」と言った男性教師がいました。その女児は後に筆者のもとへ相談しにきて、この過去の被害を報告してきたことから、どこか変なことが起きていたという違和感はあったのでしょうが、やはりまだ子どもなのでその場で断ることができなかったようです。
そのほかにも、こうした身体的距離感の近さは心理的にも表れていて、児童・生徒の中に特定の「お気に入り」を設定しているなど、よくよく言動を見ていると、教師と子どもの線引きが弱いのがわかります。まだ人を見る視点が養われていない子どもからすると「いい先生」に思えるようです。

