心の成熟度を指す「自己客観視」

では、そんな対人距離に偏りがある教師を保護者はどう見抜けばいいのでしょうか。

多くの教師の名誉のためにもあえて述べますが、大人と子どもにも相性があるのは事実です。特定の子どもと距離が近くなることもあり得ます。しかし繰り返しますが、通常はそれに教師の側が気づけるので、一方的な理由で一線を越えてしまうということはないわけです。この気づく力をもう少し専門的に表現すると「自己客観視」と言います。

自己客観視は、冷静さの力です。好きな子にだけ贔屓している自分、感情的になってしまった自分、そんなところを見て悩み、責める力でもあります。

この能力がないと、どこか人としての幼さや未熟さを私たちは感じとります。これは心の成熟度を指すので、実年齢は関係ありません。

教師に限った話ではないですが、自己客観視の能力はとても重要です。自らをセーブするストッパーの役割も果たしてくれるからです。

子どもからの「先生のエピソード」にもヒントは隠されている

私たち大人は、この大事な力を有しているのか否かを相手の印象から感じ取ることができます。それは直に教師と接していなくても、自分の子どもが学校から帰ってきて話す内容にもヒントは隠されています。また、授業参観や面談、運動会などの行事での教師の雰囲気からも見て取れる場合があります。

授業で手を挙げる小学生
写真=iStock.com/Kiwis
※写真はイメージです

具体的には子どもからの話の中に、

・特定の子が「お気に入り」にされている様子はないか
・すぐ本気になってしまって怒鳴ることはないか
・よく下ネタを言っていないか
・個人的な接点を子どもと持とうとしていないか
・手を触るなど不自然なスキンシップが多くはないか

親目線から教師を見たときに、

・敬語を使えているか
・振る舞いが実年齢と比べて幼くないか
・校内での立ち位置が浮いていないか(教員の中で孤立気味)

などは重要な指標です。自己客観視の能力に関わってくるからです。これらに問題があるから、上述の①②のどちらかのタイプに当てはまるようになり、ときに「魔が差して」一線を越えてしまうのでしょう。

これだけ事件が多発しているので、教師のことを疑いたくなる気持ちはよくわかります。筆者が本稿で述べたことだけが絶対ではないと思いますが、もしお子さんに関わる教師に心配を感じるようであれば、ぜひ本稿で述べたことを参考にしてみてほしいと思います。

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