2027年以降、販売停止がとくに懸念されているのは、「6~8畳向けの安いエアコン」です。なぜなら、そもそも冷暖房能力が低いので、省エネ性能を上げる幅が小さく難しいとされているからです。
しかし、じつはこれには抜け道があります。「6畳用のエアコンなら、室外機を8畳用に交換すれば省エネ性は改善できる」というものです。室外機を大きくすると、冷房の場合は室内の熱気を効率よく屋外に排出でき、暖房の場合はその逆が可能になります。
「6~8畳向けの廉価版エアコンが販売停止になり、センサー内蔵の高級機になるのでは」……そんなふうに騒がれていますが、おそらく実際にはありません。これら廉価版モデルに関しては、2027年対応機では「室外機がひとまわり(数cm)大きくなる」でしょう。
「広い部屋向けの方が安い」という逆転現象も
2027年以降、価格はどうなるでしょうか? 確かに値上がりはしますが、筆者の予測では、12畳用未満の廉価版については、約1万円~2万円ほどの値上げかと思われます。
いちばん改善率の高い14畳用のエアコンは、リビング向けが中心なので廉価版が廃止され、コンピュータとセンサーが自動的に節電する高級モデルに移行するかもしれません。もしくは改善幅が約半分の16畳向けに集約される場合もあるでしょう。このあたりは、メーカーの販売戦略も関わってくるので、2027年以降は「広い部屋向けの方が安い」という逆転現象も考えられます。
なお18~24畳向けは、大手メーカーが国内生産しているものが多く、現状と同じように15~25万円となるか、すでに2027年度の省エネ基準をクリアしている三菱電機の最高級モデルのように現状+10万円のモデルのように、価格に大きな幅が出てくるかもしれません。
2027年度の改正は「省エネ性の向上」が目的です。本体は値上がりするかもしれませんが、目標値まで省エネできた場合、電気代は安くなります。エアコンの寿命は10年なので、この間の電気代を計算してみました。
なお6畳用と18畳用では電気代がまったく違いますし、畳数に応じて目標の改善率が異なるため、いくつかのパターンを計算してあります。買い替えを検討している方は、今のエアコンにいちばん近い畳数の10年間の電気代を参考にしてください。後述の「値上げ前に買うべきか否か」の参考値になります。
なお計算の前提として、2025年11月時点で省エネ達成率100%の電気代と、2027年以降の政府目標の改善率を100%達成した電気代を比較するものとします。また電気代は2025年の1kWhあたり31円を基準とします。
