親にできる最初の“後方支援”とは
まずは、その気持ちをまるごと受け止めて、「どんなふうにお金持ちになりたいの?」と問いかけてみてください。それが起業なのか、アーティストとしての成功なのか、投資による資産形成なのか。
子ども自身が言葉にしていくことで、その夢はだんだんと“実行可能な構造”を持ち始めます。
さらにその夢に“値札”をつけてみる。
「その夢を叶えるには、いくらくらいかかるのかな?」
そう問いかけていくと、数字が出てきて、より現実的な目標になります。そしてその目標があるからこそ、「じゃあ、どうやってそこに行こうか?」という次のステップが見えてきます。
子どもの夢を真剣に扱うこと。それが、親にできる最初の“後方支援”です。
たとえば、娘が「将来はアーティストになりたい」と言ったとき、私たちは一緒に夢に“値札”をつけてみました。
絵を描くには、画材が必要。個展を開くなら会場費もかかる。SNSで発信するにも機材や時間が必要。どこに住みたい? どんな生活がしたい?
そうやってひとつずつ現実を積み上げていくと、年間200万円くらいは最低でも必要だね、というおおまかな数字が見えてきました。
「収益化には何本投稿すればいい?」
そこで、次の問いが生まれます。
「じゃあ、それをどうやって稼ぐ?」
絵を上手に描くだけではなく、それを“届ける力”、つまりマーケティングやビジネスの視点が必要なんだと、娘と一緒に気づいていきました。
同じように、「YouTuberになりたい」という夢にも現実的な準備はつきもの。動画撮影の機材、編集ソフト、投稿にかかる時間、企画力、そして継続力。
「収益化には何本投稿すればいい?」「最初に何を投資するべき?」
こうした問いを持つことで、夢が“願望”から“プラン”へと形を変えていきます。夢には、ちゃんとコストがある。でも、その現実と向き合ってこそ、本当に夢を叶える力が育っていくのです。
ここで伝えたいことのひとつは、「働く」という言葉のアップデートです。
“働く=時間と労力を提供して報酬を得ること”だけではありません。“自分のお金に働いてもらう”という考え方も、大事な選択肢。
たとえば、高校生がマクドナルドでアルバイトをするのは立派な経験です。でも、もし「マクドナルドの成長を応援して、その株を持っていたい」と考えられるなら、それもまた立派な“働き方”。
労働力を出すか、資本を出すか。どちらも経済に参加する手段です。
「時間」だけではなく、「お金」や「アイデア」を使って社会に関わる。令和を生きる子どもたちには、そんな“選択肢の多さ”を知ってほしいと思います。

