主人公にしては度が過ぎる発言

ことに蔦重と歌麿の関係においては、歌麿の側に感情移入した視聴者が多かったと思う。第45回「その名は写楽」(11月23日放送)では、蔦重から離れた歌麿のもとを、蔦重の妻のてい(橋本愛)が訪ね、「戻ってやってはいただけませんか?」といって頭を下げた。

その際、歌麿が残した下絵を蔦重が錦絵に仕立てた『歌撰恋之部』を持参し、歌麿の意図を汲んだ出来栄えを強調し、歌麿のことをこれほど理解できる出版業者はほかにいないはずで、蔦重にとっても歌麿ほどわかり合える絵師はいない、と説き伏せた。その結果、歌麿は蔦重のもと戻るのだが、そもそも歌麿が蔦重から遠ざかった原因は、「べらぼう」で描かれたところでは、蔦重の度がすぎるKYにあった。

たとえば第42回「招かれざる客」(11月2日放送)。江戸で評判の3人の美人を1枚の絵に描いた『当時三美人(寛政三美人)』が大ヒットし、彼女たちが働く店に多くの人が押し寄せるようになると、自分の店の女性も歌麿に描いてほしいと考える商人たちが、蔦重の耕書堂に列をなした。