「手の内を見せられ、攻撃を容易にする」

こうして11月7日の衆院予算委を迎えたのだが、台湾有事をめぐる国内政局を仕掛けたのは、立憲民主党の岡田克也元外相(元副総理)だった。高市首相が2024年の自民党総裁選で、台湾有事を存立危機事態の例に挙げていたことを取り上げ、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を中国に封鎖された場合など、どのようなケースが当てはまるのか、などと執拗に首相に答弁を求めた。

岡田克也氏(写真=Noukei314/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)
岡田克也氏(写真=Noukei314/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

そこで首相から飛び出したのが「戦艦を使って、武力の行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースだ」という、官僚が準備した答弁書にはない、独自の見解だった。戦艦と呼ばれる軍艦は19年前に米海軍を最後に退役し、世界に存在しない。艦隊の主役を航空母艦に譲ったからだ。