アベノミクスの成長戦略で注目を浴びるロボット技術。なかでも注目されているのが「介護ロボット」だ。
歩行等が困難な人の意思を反映して動作するロボットスーツHAL(R)や、人工知能の働きにより人間の呼びかけに反応するセラピー用アザラシロボット「パロ」などが有名だ。パロはギネスブックでも「世界で最もセラピー効果があるロボット」と認定され、約30カ国で導入されている。
そんな介護ロボットだが、価格面がネックとなり現場への導入はなかなか進んでいない。かながわ福祉サービス振興会 介護ロボット推進課の関口史郎氏は、「仰々しいロボットより、安価でコンパクトな介護ロボが普及していくだろう」と話す。政府は、10万円程度の価格帯の介護ロボの開発に対して、今年度だけで約24億円の補助金を出すことを決めた。介護ロボは有力な輸出産業候補でもあるのだ。
同時に、介護業界にはもはや介護ロボに期待するしかない現状もある。厚生労働省の推計によると、介護サービス・施設の利用者数は2025年度には647万人となり、11年度の1.5倍となるとみられるが、就職難の今でさえ介護業界は人材難。「『3K(キタナイ・キツイ・給料が安い)の職場』というイメージがあるのが最も大きな原因。介護現場で働くということに関し、プライドが許さないため、リストラ後に介護職に就くことを拒む人もいる」(関口氏)という有り様だ。
今後、介護の現場は老々介護の傾向がさらに強まる。そのとき介護者を支える救世主となるような安価なロボットは生まれるだろうか。
(PANA=写真)