TVドラマでは珍しい競馬ものとして注目されている日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」(TBS)。エンタメに詳しいライターの武井保之さんは「JRAが全面協力し、ロケ映像や騎手の出演などがウケているが、そのPRでは終わらない要素も重要だ」という――。
2013年11月24日に東京競馬場で開催された第33回ジャパンカップで、ジェンティルドンナは優勝
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秋ドラマ首位、3回連続で視聴率10%超え

セリ鑑定人「2億6000万、2億7000万、2億7000万」
栗須栄治(妻夫木聡)「社長、すでに予算を1億もオーバーしています」
山王耕造(佐藤浩市)「(2億7000万円の提示にコールし、2億9000万円までコール)」
鑑定人「さあ、大台3億円がビットされました、3億1000万円、ございませんか。最強の父を持つ男馬でございます」
栗須「社長、これ以上は……」
山王「(3億1000万円でビット)」

日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」(TBS)第3話より

ポジティブもネガティブも含めて話題の多い秋ドラマ。そのなかで視聴率も話題性もトップを走っているのがTBS日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」だ。競馬の世界を舞台に、競走馬の育成とレースに人生をかける人たちの王道の成功物語であり、馬主の秘書を務める主人公は毎話のラストで熱い涙を流すが、それはありがちな熱血ドラマではない。

劇中でもJRA(日本中央競馬会)のG1レースが華やかに盛り上がるが、その裏側にある、地方のサラブレッド生産、育成における現場の苦境をリアルに映しながら、競馬界にエールを送る。そんなドラマを多くの競馬ファンが支持している。

本作の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は、初回11.7%から第2話10.4%、第3話10.3%、第4話9.0%と、放送開始から3週連続で10%台をキープ。11月2日放送の4週目で少し下がったものの、秋ドラマのなかで9%以上を維持するのは、本作と「相棒 season24」くらい。数字でもネットニュースやSNSの話題性でも今期ナンバーワンのドラマになっている。

TBS公式 YouTuboo 【ロングSPOT公開】日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』11/9 第5話「日本ダービー」

競馬事業にこだわる社長を佐藤浩市が怪演

本作は、山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞などを受賞した、早見和真氏の同名小説を原作にする、競馬の世界でひたすら夢を追い続けた熱き大人たちの物語。家族や仲間たちとの絆で、数々の奇跡を起こしていく人と競走馬の20年にわたる壮大なストーリーが描かれる。

主人公は、元大手税理士法人勤務の税理士・栗須栄治(妻夫木聡)。顧客企業・ロイヤルヒューマン社の不採算事業である競馬事業部の実態調査依頼を受けたことから、同社を一代で築き上げた創業社長であり、競馬事業部を取り仕切る山王耕造(佐藤浩市)と出会い、人生が変わる。

彼の人柄と競馬の世界に惹き込まれた栗須は、耕造の選任秘書に転身して競馬の世界に踏み入れ、彼とともに年末のG1レース・有馬記念での勝利を目指す。そこでは、セリ(買い手が競って価格を決める取引)や生産ファームでの競走馬の買い付けから、調教師による厩舎での育成、地方競馬を経て中央競馬のレースへの出走、そして競馬界の最高峰・G1レースへの出場と、ひとつずつステップアップして頂上へたどり着くまでの軌跡が描かれる。