持ちすぎるほど不安は増していく

お金であれ、ものであれ、私たちは、手に入れることで安心しようとします。より多くを所有すれば、将来も不安がなくなると考えるからです。しかし、実際には所有すればするほど心配や不安は増えていきます。失う恐れ、管理する手間、他人からの目──得た財産にはそれらがつきまとうからです。

老子の教えは、「欲望の否定」ではなく、「欲望の扱い方」にあります。「満ち足りている」と感じられることで、はじめて人は落ち着きを得られるのです。どこまで手に入れても心が騒がしいのなら、それは豊かさとは呼べません。むしろ、少ないものでも感謝できる人が、もっとも安定した心を持てるのです。