同校からは昨年3人の児童が中学受験に挑戦し、全員が第1志望に合格した。田んぼに囲まれた、学年30人足らずの小学校としては、画期的な成果だ。

学力面以外でも効果は大きい。なかでも、先生方を驚かせているのは、子供たちのメンタル面での変化だ。

同校の体育主任、上野智之教諭は「クラスの人間関係がよくなり、生徒間のトラブルも減ったと感じています。また、児童一人一人の表情が豊かになったとも感じます」とその効果を語ってくれた。

ネーパーヴィル203学区でも、子供たちの協調性、リスクに挑戦する姿勢といった、社会スキル面をつかさどる脳の部位の発達が、成績向上と同時に指摘されていた。同じことが、瑞穂野南小学校でも起きているのかもしれない。

楽しい20分間はあっという間に過ぎ、最後にクールダウンのエクササイズをみんなでやって、その日のプログラムは終了。

汗だくのインストラクターや先生と笑顔でハイタッチを交わしながら、子供たちは教室に戻っていく。疲れて眠くならないの、と尋ねると、「全然! むしろ頭がすっきりする!」と元気いっぱい。

実証データはまだないものの、「運動が脳にいい効果を発揮する」ということは日本の教育現場では実感を得ているようだ。

瑞穂野南小学校での成果を受け、栃木県内ではさらに6校の公立小学校で、boksプログラムが導入される予定となっている。子供たちの脳の中で、これからどんな奇跡が起きていくのか楽しみだ。

(平山順一、遠藤素子=撮影)
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