「boks式だるまさんがころんだ」の様子。床に伏せた状態でスタート。鬼に向かって全力で走り、鬼が振り向いたら床に伏せる。立ち上がって、走って、伏せてを繰り返すので、児童も息が切れてくる。

日本ではスポーツを通じた社会貢献を目指しているユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション(USF)が、インストラクターを派遣して、プログラムの普及を進めている。

瑞穂野南小では現在、月に1、2回ほどの頻度でboksプログラムを行っている。時間は2時間目と3時間目の間の中休みの、およそ20分程度。内容はグループゲームを中心に、子供たちが楽しみながらしっかり体を動かせるよう工夫されている。インストラクターの根無(ねむ)教博氏は次のように語る。

「遊びの要素を入れつつも、『勝ち負けや競争にしない』『普段使わない筋肉や関節を使う』『スキンシップや会話を促すような構成』といったレイティ氏の考え方をしっかり取り入れています」(根無氏)

この日のプログラムは「だるまさんがころんだ」。体育館のステージ側に集まった子供たちが、鬼役の6年生の「だるまさんがころんだ!」のかけ声が始まるやいなや、全力疾走で反対側の壁を目指す。

かけ声が終わって鬼が振り向いたとき、床に伏せていればセーフ、間に合わなければアウト、というアレンジがミソ。伏せてはさっと起き上がって走り、また伏せては起き上がって……と繰り返す運動量はかなりのもの。

「心拍数を上げること、有酸素運動であること、全員が自然に全力を出せることを重視しています。また、ちょっと作戦を考えるなど、頭を使うような要素もできるだけ入れるように工夫しています」(根無氏)

教職員も児童たちも効果を実感!

学力面での効果について、同校の小野浩司教諭は「国語の漢字の書き取りや算数の計算問題などについては、データは取っていないものの、効果は出ています。boksで体を動かした後の授業では、記憶の定着や計算のスピード、授業への集中力が向上していると教員も強く実感しています。子供たちへのアンケートでも、運動のあとは、授業に集中できるという回答が非常に多かった。今後は学力の関係などについて、より実証的なデータも取っていけたらと考えています」と語る。