宝石界の女王とも呼ばれるダイヤモンド。その価格が上昇しているという報道が続く。5月25日の日経新聞朝刊では「円安に加え、海外での取引価格が上昇しているため卸価格が値上がり。小売店は収益が圧迫」と伝えられた。
ダイヤは業界最大手である南アフリカの「デ・ビアス社」による市場寡占が続いている。近年、小さいダイヤについては競争環境が厳しくなったものの、依然として大きなダイヤは独占状態のままである。
新潟大学経済学部教授・芹澤伸子氏は「近年、新興国の需要が増えているが、大きなダイヤは絶対量が決まっている以上、元を絞れば市場に出回る量は減り、当然値段が上がる。しかし、今回の報道は短期間での変動で円安の影響も強く、本当にすべてのダイヤの価格が上がったとは一概には言えない」と話す。
現に1gあたりのダイヤの価格も、2000年は約23万円だったのに対し12年は約17万円と小さく上下しながらも金額は下がり続けている。
ダイヤは石の透明度や研磨具合などを表すColor、Clarity、Cut、Caratの「4つのC」で価値が決まるという。さらに「日本人は白っぽい物を好んだり、西洋人は透明度の高い物が人気があったりと、国民性によって好みが分かれる。金と違って単純に重さと値段を比較しても市場全体を表すとは限らない。標準化するのが非常に難しい商品で、報じる側がそれを踏まえているのかどうか、価格変動の報道には注意が必要だ」という。
(ライヴ・アート=図版作成)