今年の夏は例年以上に苛烈な猛暑が続いた。熱中症被害も多数発生したが、ダメージを受けたのは人間ばかりではない。
7月中旬から暑さが厳しくなるにつれ、野菜の値段が高騰した。特に葉物野菜は顕著で、キャベツは1kgあたり171円で平年比113%、レタスに至っては1kgあたり379円で平年比130%にまで上がった。また、こういった状況は「家計に大打撃」などといった内容で、ニュースや新聞で多数報道された。
野菜の高騰は「猛暑が主な原因」とした報道が多かったが、それだけが原因とは一概には言えないという。
「野菜は寒い時期は暖かい地域から、暑い時期には涼しい地域からと、出荷地が1年を通して北上していくのがセオリー。しかし、今年は5月頃から早くも気温が上がってしまったため、涼しい地域の野菜を前倒しで出荷していました。さらに梅雨が短かったことも重なり、水分の少ない小玉の野菜が多くなってしまった」と東京都中央卸売市場の関係者は明かす。単純に猛暑によって野菜がダメになってしまった、というわけではなく、しかるべき兆候は以前からあったのだという。
また、「昨年の主要品目の小売価格は、たまねぎを除くと大幅安でした。中でもレタスは120円で前年比は65%と特に安い年だったのです。ですから主婦の感覚では随分高くなっているような気がしますが、実は極端に高いわけではない」という。
野菜狂乱もあっという間に終わる。8月末までには東北物が出揃い、価格もこなれてくる見通しだ。
(ライヴ・アート=図版作成)