「御家中一の器量よし」
チエはほかの記録からも、「御家中一の器量よし」といわれていたとされる。残されているチエの肖像写真は、すでに年齢を重ねてからのものだが、顔立ちがよく整い、若いころは大変な美人であったことが伝わる。実際、少し北川景子を彷彿とさせる。ちなみに、「稲垣家」とは「ばけばけ」における松野家のモデルである。
稲垣家は禄高100石ほどの中下級の藩士の家だった。だから、「ばけばけ」におけるトキの養父母、松野司之介(岡部たかし)とフミ(池脇千鶴)のモデルである稲垣金十郎とトミ夫妻は、禄高500石の小泉湊とチエ夫妻とは格が違った。
それなのに、どういうわけかセツの実父母は、遠縁にあたる稲垣家とのあいだで、「今度子どもが生まれたら養子にあたえる」という約束を交わしていたという。このため、「私は生まれて八日目に稲垣家にもらわれて行った」(セツの『幼少の頃の思い出』より)。
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