国がいまだに明かさない日ソ交渉の裏側

ただ、2012年に首相に復帰した安倍晋三は、中国の台頭に対応するため日ロ関係を進展させようと北方領土問題で妥協へ動く。18年の大統領プーチンとの首脳会談で「56年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる」と合意。歯舞、色丹の「二島」での決着を急いでいた。

その安倍の判断を評価する上で、そもそも56年宣言をまとめた鳩山の訪ソでどのような交渉があったのかを知ることは欠かせない。だが実は、政府はいまだに関連の外交文書をほとんど明かさない。30年ルールによる公開時期をとっくに過ぎているが、「継続中の交渉に関する過去の記録は非公開」という理由からだ。