「嵩」と呼び捨てするまで“3週間”

この感情、人生の大半を「会社員」として過ごしてきたことが根底にあるとわかっている。働くことへの思い入れが強く、蘭子贔屓もそこにある。そして「嵩」が「嵩さん」になったのは、たぶん実在の暢さんが、やなせさんをそう呼んでいたからだろう。

そう思うのは、「あんぱん」のチーフプロデューサー・倉崎憲さんを6月末にインタビューしたから(だから今田美桜さんが「朝ドラのヒロイン」になった…「あんぱん」最終オーディションで"のぶ"になった瞬間)。「史実はできるだけドラマに反映させたい」と語り、足が速く勝ち気だった暢さんの話をしていた。

久々にのぶの「嵩」が出たのは、散髪から3週後の112話だった。うれしかった。展開をざっと説明するなら、嵩は仲間の漫画家たちの世界旅行をきっかけに自己嫌悪を口にした。その当時、すでに「手のひらを太陽に」の作詞もしていたし、テレビ番組のレギュラーにもなっていた。今なら「マルチタレント」だが、嵩は基本、自己肯定感が低いクヨクヨくんなのだ。