年齢別出生数が「20代前半<40代前半」に
今月、人口動態調査の2024年確定報が公表されました。
2024年の出生数は68万6173人(前年比5.7%減)で、これは既に公開されていた概数値の68万6061人とほぼ一緒で、つまり、それは1899年(明治32年)以降で過去最少記録であることも変わりません。
2024年のトピックとしては、年齢別出生数において、40代前半(40~44歳)の出生数が20代前半(20~24歳)のそれを初めて逆転したという事実があります。確定の数字で言えば、20代前半出生数4万2757人に対し、40代前半が4万3471人で、わずかながら20代前半<40代前半となりました。
とはいえ、これを簡単に晩産化などと片づけていい話ではなく、実は、ここにこそ日本の少子化の因果が表れています。
まず、誤解のないように、40代前半の出生数が20代前半を上回ったからといって、決して40代前半の出生数が増加したわけではありません。出生数は49歳までのすべての年代で前年割れです。40代前半が増えたのではなく、20代前半が激減したがゆえの逆転です。
また、出生率でみると、20~24歳0.0764に対し、40~44歳0.0608であり、20代前半のほうが実は出生率は高い。なぜ、そうなるかというと、それは、そもそも母数人口が40代前半のほうが多いからです。40代前半が生まれたのは1980年代、当時はまだ年間の出生数が150万人以上だったのですから当然です。
「20代出生率の低下」という大問題
そもそも、日本に限らず、世界の各国で出生率が低下している原因はほぼ20代出生率の低下にあるといっても過言ではありません。韓国の出生率が世界最下位なのは、ほぼ20代の出生率が壊滅的であることによります。韓国ほど極端ではありませんが、日本でも20代出生率の低下が著しい。
直近でもっとも出生率が高かったのは2015年(1.45)ですが、それと2024年(1.15)とを比較すると、全体のマイナスは0.3ですが、その66%を占める0.2分は20代の出生率のマイナスです。いかに20代出生率の低下が全体の決定要因となっているかがわかるでしょう。
20代までの出生のうちの6割以上は第一子出生です。そして、第一子が産まれるほとんどの前提は婚姻によります。つまり、20代の出生率が激減とは、すなわち20代の婚姻が激減したことで20代での第一子出生が激減したことを意味します。
最新の人口動態調査結果から、出生順位別の出生率の推移を、2000年を起点として2024年まで第一子、第二子、第三子以上の何がマイナス要因となっているかをまとめたものが以下のグラフです(図表1)。
ここで明らかなように、マイナス要因として最大なのは、第一子の出生率の低下であることです。全体の出生率を押し下げるトリガーとなっているのは常に第一子出生率で、反対に押し上げた場合も第一子出生率がそれほど減少していないか増加している場合です。近年全体が低下したのも、第一子出生率が大幅に減少したことによります。これは至極当たり前の話で、第一子が産まれない限り、第二子も第三子もないからです。


