イクメンの夫は不倫をしないのか。離婚や男女問題に詳しい弁護士の堀井亜生さんは「夫を積極的に育児に参加させて“イクメン”にすることで、夫が不倫をすることを防ごうとする妻がいる。しかし、それは効果がないことも多く、子どもがかわいいからといって不倫を思いとどまるとは限らない」という――。
※本原稿で挙げる事例は、実際にあった事例を守秘義務とプライバシーに配慮して修正したものです。
モテる夫が「不倫するのでは」と不安に
A子さん(仮名)は、34歳の会社員です。知人の紹介で出会った夫は、「とにかくモテる」と評判の人でした。知人に聞いても、彼女が途切れたことがないそうです。
整った顔立ちでとても優しい夫に夢中になったA子さんは、猛アプローチをかけて、交際、そして結婚にこぎつけました。キャリア志向のA子さんは、結婚後も精力的に仕事をつづけました。
しかし、A子さんにはどうしても消えない不安がありました。「夫はモテるから、いつかきっと不倫するに違いない」という思いがずっと頭の中にあったのです。
夫の不倫が心配なA子さんは、すぐに子どもがほしいと提案して、長女を妊娠、出産しました。
それでもやはり不安は消えません。そこでA子さんは、夫を積極的に育児に参加させることにしたのです。
“イクメン化”で不倫を防ぎたい
「今の時代は男性も育児をするべき」と夫を強く説得して、平日は早く帰って保育園の送り迎えをしてもらい、休日の子どもの相手なども、ほとんど夫に任せました。
A子さんが仕事で忙しい日は、夫が有休を取って子どもの面倒を見るようにし、なるべく夫が自由な時間を持たないようにしました。そのため、A子さん自身は仕事をセーブしないで済みました。
そして知人や同僚には「イクメンの夫」をアピール。SNSでも顔は出さずに夫や長女との外食や旅行などを載せて、「子煩悩な人ですね」「幸せそうなご夫婦」というコメントをたくさんもらっていました。
夫も楽しそうに子どもの面倒を見てかわいがっていたため、ようやくA子さんも「これなら安心かもしれない」と思うようになっていきました。
ところが、長女が3歳になった頃のある日のこと。
A子さんは、夫のスマホに、女性らしき名前からのLINEの通知が届いているのを発見したのです。

