(PIXTA=写真)

収入が下がってしまった場合、まずは手のつけやすい食費から削減しようと考えがちだ。だが、食卓が寂しくなるとみじめな気分になるし、健康に影響が出ては最悪だ。食費の削減は外食費を減らす程度にとどめたい。

また、こづかいもなるべく減らさないほうがいい。仕事に影響が出たり、やる気が出ないようでは逆効果になってしまう。野村家の場合、夫のこづかいは以前から2万円。すでに削減の余地はなく、据え置きとした。

こうした緊急事態でこそ、家族同士の心づかいが欠かせない。「給料が下がったから」などと口に出すのは禁物だ。

一方、優先して削減するべき項目は自動車経費や保険、通信費などの固定費だ。

野村家では、リストラが決まってすぐに車を手放すことを決断。古い車だったので数万円にしかならなかったが、毎月の駐車場代約2万円と自動車税などの維持費が浮いた効果は大きい。また、これまで毎月3万円程度払っていた生命保険もすぐ見直した。子供が小さいときに加入してそのままだった定期付終身保険の定期部分を減額、妻も終身保険を解約して医療保険だけにした。これで保険料を月1万円以上減らすことができた。

通信費はもともと少ない。高校生になるまで携帯電話は持たせないと決めていたので、次女は携帯電話を持っていない。夫婦ともほとんど使わないし、長女とは自分で使った分はこづかいから払う約束をした。

こうした引き締め生活を長く続けてきたおかげで、1年前のリストラ時点で700万円の貯蓄があり、精神的にも大きな支えになった。このお金は今後の教育費として確保する。早期退職金として受け取った1000万円については、住宅ローンの繰り上げ返済に回すことも考えたが、教育費が一段落するまで手をつけないこととした。ずっと専業主婦だった妻は今、パート先を探しているところだ。収入が増えれば毎月の貯蓄もできるだろう。

リストラや勤務先の倒産など、家庭に経済危機が起きたときは、家族で話し合って力を合わせてこそ乗り越えられる。厳しい状況は子供にもきちんと伝えたほうがいい。子供は子供なりに、自分には何ができるか考えるものだ。

野村家の場合も、長女はアルバイトを始め、姉妹で今後の進路などを話し合ったりしているようだ。リストラにあったことで、かえって家族の絆が強まったのではないか――野村さんは今、そんな気がしている。