野村家の状況
――退職後すぐに家計見直しを断行

【年収】376万円【貯蓄額】700万円(ほかに早期退職金1000万円)
【家族構成】[夫]45歳/会社員[妻]43歳[長女]16歳/高校1年生[次女]14歳/中学2年生
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野村家の家計

会社の経営難のため、1年前にリストラにあってしまった野村さん。すぐに再就職先は決まったものの、手取り収入は3割も下がってしまった。

妻と相談して、さっそく固定費の削減を実行。車を手放し、保険を見直すことにした。リストラ前から節約生活が身についていたので、住宅ローンを払いながらもギリギリなんとか暮らしていける。さすがに毎月は無理だが、ボーナスから少しだけ貯金もできている。

野村さんには高校生と中学生の娘がいる。2人とも公立で教育費の負担が少ないのも幸いだった。リストラにあったことは、思い切って娘たちにも伝えた。以前はそっけなかった2人が何かと気をつかってくれるようになったのが、父親としては少しうれしく感じている。

これまでコツコツと貯めてきたので、2人の大学入学金はなんとかなりそうだ。これからもっと教育費が増えるはずだが、早期退職金はなんとかとり崩さずに乗り切りたい。

ずっと専業主婦だった妻も、今はパートに出ることを検討している。根が陽気なので、営業なども向いているかもしれない、と話している。

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――ピンチを乗り切る家計力と家族の絆

中高生の子供が2人、住宅ローンもある中で、野村家は収入が3割もダウン。毎月の手取り収入は40万円から28万円になり、12万円も減ってしまった。普通の家計なら行き詰まってしまってもおかしくない。

野村家がこの状況で貯金をとり崩さずに暮らしていける最大の理由は、やはりこれまで節約生活を続けてきたことだ。

教育資金を貯めるため、妻が家計簿をつけて家計をしっかり管理。夫婦で話し合いながら、ムダのない生活を続けてきた。だから、暮らしはリストラの前後でそれほど大きな変化はない。

たとえば、食費は料理の得意な妻が以前から安い食材を探して手作りを続けてきたし、野村さんも家で酒を飲む習慣はない。子供も公立に通わせ、贅沢をさせることはなかった。服は家族でユニクロを愛用。また、本はなるべく買わずに図書館で借りるようにしてきた。