私が仕えた上司には、それこそいろいろなタイプがいました。指示らしい指示が全くない人、重箱の隅をほじくるような細かいことをいちいち質問してくる人。そうかと思えば、1日中「バカヤロー、なにやってんだ!」とガンガン怒鳴り続ける上司もいました。

同僚たちは、酒を飲んでは「うちの課長は何でもかんでも部下に丸投げじゃないか」「あんなに頭ごなしにやられたら、やる気をなくすよ」と悪口を言い合っていたものです。

自分のことは棚に上げ、他人の批判をしたがるのは世の常です。しかし、他人を批判してばかりでは仕事は楽しくないし、そもそも成果が上がりません。私は若いころから「みなが仕事しやすいよう、職場の雰囲気を良くしていきたい」と考え、行動するように心がけてきました。

図を拡大
タイプ別「嫌われ上司」対処法

まず、どんな場合でも、上司に対しては何かしら尊敬の気持ちを持つことが大切だと思ったのです。課長なり部長になったということは、なれなかった人と比べ、それまでの会社員生活でどこかが優っていたからです。

そう思えば、どんなタイプの上司に対しても尊敬の念を抱くことができ、そうすると、たとえ怒鳴られてもあまり痛痒を感じなくなってきます。そのうえで、それぞれの上司の性格に合わせてコミュニケーションをとっていくことが大事なのです。

私の場合、重箱の隅をほじくるような上司に対しては「この人は絶対、細かいことを聞いてくる」と考え、毎朝その日に聞かれそうなポイントについてのQ&Aを1人でやり、それを自分の中にインプットしておいて、聞かれる前にこちらから話すようにしました。

聞く前に説明されると上司は気持ちが楽になり、「こいつは細かいことまで考えて仕事しているんだな」と信頼してもらえるようになります。

2言目には「バカヤロー!」と怒鳴る上司には、あちらと同じ体育会口調で返事をしました。「わかってんのか!」と怒鳴られたら、「はいっ、わかってますっ!」と返す。こうすると怒鳴っているほうも張り合いが出てきます。

何も言ってこない上司の場合は、当人の机の上に週報を置くようにしました。私が今何をやっていて、それがどう進展しているかを伝え、上司に頼みたい事項をそこに書き添えておくのです。たとえば「来週あたり、○○社の課長にご挨拶に伺う予定ですので、その際にはぜひ同行をお願いします」という具合です。上司が指示を出してこないのであれば、こちらがイニシアチブをとって上司を誘導してしまえばいいわけです。