つい福袋を買ってしまう消費者の心理学

「初売り」「新春特別セール」など、年明けは何かと購買意欲を駆り立てられる言葉が目立ちます。いつもは衝動買いをしないのに、つい福袋を買ってしまったなどという人もいるかもしれません。そうした人の消費行動には、どのような心のメカニズムが働いているのでしょうか。

景気がよくても悪くても、福袋人気は衰えない。(Getty Images/時事=写真)

衝動買いに限らず、消費者の行動を理解するための重要な視点があります。それは「人が情報を処理するには心的リソース(資源)が必要で、リソースは基本的に不足している」という考え方です。

私たちは目や耳で外の世界の情報をキャッチしたり、頭の中で物事について考えたりしますが、こうした情報を処理するために利用できる心的リソースは、意外なほど少なかったり、簡単に枯渇してしまいます。

例えば、短期的な記憶の容量は、語呂合わせなどの手段を用いない限り、「4個」程度しかありません。また、外の世界の情報に注意を向けて細かく処理したり、頭の中で何かを深く考えたりする状況になると、同時に扱える対象はほぼ1つと言われています。

こうした心的リソースの不足は、消費者としての私たちの行動に直接的な影響を及ぼします。例えば、広告ではよく商品の横に有名タレントが並んでいます。しかし、これを消費者が見るときには、タレントの処理に心的リソースが奪われてしまい、肝心の商品についての記憶は低下してしまうことがわかっています。