派遣社員として働くには人材派遣会社に登録しなければいけない。そして派遣会社は派遣元企業の支払いから手数料を差し引いた分を給与として支払う。このため派遣会社は「ピンハネ」や「利ザヤ業」と批判されることがある。だが、それでも登録者は増えている。なぜ「派遣」が選ばれるのか。主婦向けの人材派遣に特化してきたビースタイル創業者の三原邦彦社長に聞いた――。
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エアポケットだった「時短×ハイキャリア」市場

—— ビースタイルでは時短勤務の人材派遣サービスを提供してきました。なぜ時短人材に着目したのですか。

私が大手人材サービス会社を辞め、「ビースタイル」を創業したのは2002年のことです。女性の総合職採用が本格化したのは男女雇用機会均等法が施行された1986年ですが、当時は女性の寿退社が当たり前でした。

ホワイトカラーの女性が、結婚・出産を機に高校時代にバイトをしていた飲食店に戻ることも多くありました。せっかく大学に行って、社会人になってキャリアを積み上げてきたのにもったいないと思って見ていました。

女性の選択肢は限られていました。無理してフルタイム正社員として働くか、キャリアを中断してパートで働くか、専業主婦になるか。キャリアを捨てざるを得ない人も多かった。「時短でもキャリアを活かして働きたい」という主婦層の需要は確かにあったはずなのに、それに応える仕組みがなかったんですね。