車や運転免許を「所有」する時代は終わる

トヨタ自動車とソフトバンクグループがモビリティサービス分野での提携を発表。合弁会社「モネ・テクノロジーズ(MONET Technologies)」を設立して2018年度内に事業をスタートする。出資比率はソフトバンクが50.25%、トヨタが49.75%。資本金20億円で将来的には100億円まで引き上げる予定だそうだ。

提携を発表するトヨタ自動車の豊田章男社長とソフトバンクグループの孫正義社長(2018年10月4日)。(AFLO=写真)

Mobility as a Service(略称MaaS移動のサービス化)という概念が自動車業界で注目されているが、クルマは「所有」する時代から移動手段として「利用」する時代に大きく変わりつつある。スマホのアプリに目的地を打ち込むと完全自動運転のロボットカーが迎えにくる時代になれば、クルマや運転免許を持つ意味などなくなるのだ。

高齢者にとって免許更新がますます煩雑で面倒、という問題もなくなる。これまでのビジネスモデルが通用しなくなる近未来を見越して、トヨタは16年に自動車メーカーからモビリティカンパニーへのモデルチェンジを宣言した。

トヨタの目線の先には、常にソフトバンクがいた

一方のソフトバンクはいち早く「モビリティ革命」を掲げて、モビリティサービスの関連企業を買収したり、投資ファンド(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)を通じてさまざまな企業に出資したりしてきた。

たとえばライドシェア事業でも世界最大手のUberテクノロジーズの株式15%を取得して筆頭株主になっているし、ほかにも中国のDidi(滴滴出行)やシンガポールのGrab、インドのOlaなど世界の配車アプリ大手に軒並み出資して筆頭株主になっている。まさに手当たり次第だが、Uber、Didi、Grab、Olaの4社で世界のライドシェア利用回数の9割を占めるという。

それはつまり、ライドシェアというサービスやその配車アプリが世界中でどのような使われ方をしているかなど、「人の移動」に関する膨大なビッグデータが一手に集まるということだ。