アメフトの事件と事後の対応で、伝統ある看板に傷がついた日本大学。そこから垣間見える巨大組織の“鈍感さ”とその原因を分析する。

“日東駒専”からの脱落はありえない

日大といえば、言わずと知れた日本一のマンモス大学。1889(明治22)年の創立(当時は日本法律学校)以来、卒業生総数は116万人を超える。出身大学別の社長の数が全国1位ということでも知られている。

相手選手への悪質なタックルをめぐる日本大学アメフト部監督、コーチの会見(当時、写真上)。発祥の地である東京・神田三崎町周辺には、ところどころに日大の校舎や施設が存在する。(時事通信フォト=写真上中、AFLO=写真右下)

しかし、ここのところ世評は芳しくない。アメリカンフットボール部をめぐる騒動と、記者会見やそれ以降の大学側の対応に、日大は世間から非常に厳しい目を注がれることになった。

「騒動の後、日大OBから質問の電話やメールが来ました。学生運動が盛んだったころの左派の人たちはもちろん怒っています。しかし、大多数を占める保守派の人たちは『うちの大学でその程度のことがあっても不思議はない』と現実的に捉えています」――そう語るのは、国内の大学全般を長年ウオッチし続けている経済評論家・ジャーナリストの島野清志氏だ。

「日大は系列校を含め、スポーツでも定評がありました。ただ近年は、野球ひとつとってもパッとしません。そうした中でアメフトは2017年、甲子園ボウルで27年ぶり21回目の優勝。“日大ブランド”の価値向上にひと役買うはずだったのですが……」(島野氏、以下同)