夫を亡くしたシニア女性はいきいきと暮らしているのに、妻を亡くしたシニア男性は幸福度が低い――。最新の研究は、定年後の夫婦の意識が男女であまりにも違うことを浮き彫りにしている。たとえば60代以降の男性は幸福度が上がるのに、女性の幸福度は下がる。妻を亡くした夫の死亡リスクが1.3倍に上がるのに、妻は不変。こうした男女差の原因とは何か――。

※本稿は、村山洋史『「つながり」と健康格差』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。

夫在宅ストレス症候群の証明

性別、年代別の幸福度をインターネットで調査した研究があります。それによると、男性は40代で最も低く、それ以降、年代が高いほど幸福度の平均値は徐々に高い傾向がありました。

40代は、一般的に中間管理職的な役割を担う時期であり、仕事の大変さなどが大きく関係していそうです。50代では、役目が変わったりして、その大変さが少し緩和されるために幸福度が少しだけ高いのかもしれません。

60代以降は、定年退職して、それまでの仕事のストレスから解放されたので幸福度が高いのでしょうか。もしかすると、夢見た定年退職後の生活を実現している可能性もあります。

では、女性はどうでしょうか?

なんと、女性は、60代以降は年代が高いほど、それまでの年代と比べて幸福度が低い傾向にあったのです。60代以降で幸福度が高くなる男性とは正反対の傾向です。まさに、主人在宅ストレス症候群を支持する結果といえそうです。

別の調査結果でも、同じような傾向が示されています。全国の60~74歳の高齢前期の人を対象とした研究では、夫が就労している女性は、就労していない、あるいは配偶者がいない女性に比べて幸福感が高いという結果でした。つまり、夫が仕事をしていない場合(定年退職している場合も含む)には妻の幸福感が低く、働いている場合には高いということです。