情報は本文以外からも拾う

速読の3大スキルを踏まえたら、5つのステップを実践していくこととなる。ここでは、本の種類としてビジネス本や子供向けの学習ハウツー本などのケースを主に説明していこう。

ステップ1は、「なぜ、読もうと思ったのかを考える」。読もうと思った動機や、その本から得たい知識などを明確にすること。試験問題なら設問文を先に読むことで、“この情報が必要だ”と意識して読むことにつながる。

ステップ2は、「概要を押さえる」。書籍であれば、目次、帯、裏表紙(カバー)に注目する。これらの部分には、本の内容のまとめが書かれていることが多い。

「事前に全体像を把握しておくと、重要な箇所が明確になるので、読むスピードを上げることができます。試験問題の場合は盲視を利用して、とにかく最後のページまですべてに一度目を通すようにします。試験の全体像を把握しておけば、『時間が足りず解ききれなかった』というようなミスも防げますし、じっくり考えることに時間を割く問題なのか、素早くテキパキこなしていく問題なのか、などの作戦も立てやすくなります」(照井さん)

ステップ3は、「読む期間を決める」。いつまでに読み終えるか、1日どれくらいのペースで読むかを設定する。試験問題の場合は、問題ごとの時間配分を設定する。

文章の真ん中あたりの位置で指を走らせ、その指を目線で追いかけるようにして読んでいく。目線を真ん中に固定しつつ、行全体を視野に入れるのがポイント。

ステップ4は、「実際に見る(読む)」。これは、盲視のスキルをフルに駆使することとなる。最初は、1つの見開きを見るのに「1、2、3、4」というくらいのスピードでページをめくるようにするが、慣れてきたら見開きを「1、2」のスピードで見てページをめくるようにする。そして全ページに目を通すのだ。

照井さんの教科学習では、たとえば分厚い社会科のテキストを1ページにつき0.5秒のペースで最後までめくるのを2回繰り返し、次に、それよりは遅いものの、通常よりはるかに速いペースで最初から見て(読んで)いくという方法をとることもある。

「パラパラッと、本の最初から最後まで、2往復するだけでもかなりの情報が得られます。その情報をベースに速読すれば、かなり速く読めます」(照井さん)