新聞でトレーニング――新聞記事を元に自家製問題集作り

鈴木 亮さん
長男・次男をともに東京・千代田区立九段中等教育学校に合格させた父の手記『塾不要 親子で挑んだ公立中高一貫校受験』が話題に。日本経済新聞社 編集局編集企画センター編集委員兼マネー&インベスター(M&I)面編集長。

長男の公立中高一貫校受検で初めて「適性検査」を目にしたときだった。「“考える力”が求められている」――。『塾不要 親子で挑んだ公立中高一貫校受験』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者として知られる鈴木亮さんは、そう実感した。そして次男の受験に際しては、「発想力や考える力を養うには“新聞”が使えるのではないか」と思い浮かんだ。鈴木さんは日本経済新聞社の編集委員や編集長として活躍しているだけに、当然ながら新聞に精通している。

「特に日経新聞はグラフなどデータ資料が多いので“このグラフから何が読み取れるか”といった材料には事欠きません。ただし、塾にも通ったことがなく、文章を書く習慣もなかった次男には、ウオーミングアップが必要でした」

STEP1として取り組んだのが、日経新聞と朝日新聞それぞれの朝刊1面コラム記事「春秋」と「天声人語」の要約である。2つのコラムを見比べて、興味のあるほう、あるいは書きやすいほうを選ばせ、字数も時間も制限を設けず、とにかく自由に書かせた。

始めたのは小学6年の5月。当初は「要約してごらん」と言っても、ただの箇条書きが返ってくるありさま。そこで、子供の前で一度要約文を書いて見せたうえで、その記事に戻り、「この文章で一番重要なところはどこ?」「この段落では?」などと聞いて重要なポイントを探させ、最後に「それぞれのポイントを自分の言葉でつないでごらん」と、徐々に要約とは何かがわかるように導いた。そして褒めることに徹し、やる気を持続させることに成功したのだ。