要約をさせる際、2紙から好みのテーマを選択させると、能動的に取り組めるうえ、バランスよく時事問題のベースができる。

要約することに慣れてきたら、今度はSTEP2として、200字という目安を設けた。適性検査の問題に200字程度で答えさせるものが多かったからだ。無駄な言葉、無駄な接続詞を極力そぎ落とすことがポイントだった。最初は30分かかっていたが、徐々にスピードが上がったため、制限時間は10分に設定した。これも適性検査の時間から逆算してはじき出したものだ。

要約を始めて2カ月たったころには「だいぶうまくなったな」と実感できるほどに進歩が見られた。しかも制限時間内にピタリの文字数で書けるようになったという。

ここまできたら最後の仕上げ、STEP3だ。鈴木さんは新聞記事を材料にした自家製問題集を、週末にまとめて1週間分作り、1日ワンテーマずつ10~15分、毎日取り組ませた。なんとその中には見事的中し、実際の適性検査で出題されたものもあった。

問題を作るうえで比重を置いたのは、グラフなどデータ資料が付いている記事。ただし、グラフを読み取るのは難しい。要約同様、はじめは親が手伝う必要がある。

「一緒にグラフを見ながら、驚きの声をあげたり、会話をしながら徐々に慣れさせるのがいい。『日本の高齢化比率はこんなに高いのか、父さんも知らなかったよ』『そういえば田舎のおばあちゃんも独り暮らしだね』『君だったら、高齢者にどんなことをしてあげられる?』といった具合です」

自家製問題集の出題の仕方についても、グラフの見方が習得できるように工夫した。

「ポイントとなるのは、急激に増減している変化率の大きい部分。ですから、(1)変化率の大きいところに着目させ、(2)その理由は何かを問い、(3)その対策案を考えさせる、という3段階で捉えれば、問題が作りやすいと思います」

当時は新聞を6紙とっていた鈴木さんだが、グラフが多い日経新聞と、わかりやすい記事が多い朝日新聞を活用することが多かった。また都内の中学校の受験対策としては、東京都のトピックが充実している東京新聞も役立ったという。「新聞記事を使った問題を作ったり、子供の答案を添削したり。私はその作業が楽しかった。『この記事って、どういうことなんだろうね?』という対話から始まり、インターネットなどで調べ、親子で『へぇー、そうだったんだ』などと楽しめば、子供にとって強く記憶に残るでしょう」

(遠藤素子=撮影)
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