請求書・チラシでトレーニング
――産地、歴史、制度へと話題は広がるたった1枚の紙が学びの宝庫
花マル笑子塾主宰の吉本笑子さんは、テーブルの上に1枚の紙を置いた。電力会社から毎月各家庭に届けられる「電気ご使用量のお知らせ」だ。「東日本大震災以降、省エネ意識の高まりもあり、中学入試でグリーンカーテンがよく出題されました。今夏は本格的にエネルギーについての議論が高まるでしょう。じつはたった1枚の紙に、注目したい話題のきっかけが、たくさん詰まっているのです」
例えば、「燃料」という言葉が目に入れば「電気をつくるには、何か燃料が必要なのかな?」という話ができる。すると、原子力発電と火力発電の違いや、ウラン、石油、天然ガス、石炭の違い、それらをどこの国から輸入しているのか、国内でも調達できるのかなど、次々と話は広がるわけだ。
「『そんなことを子供に聞かれても答えられない』と尻込みするお母さんもいらっしゃるかもしれませんが、心配には及びません。インターネットには信頼できる発信元の情報もたくさんありますので、子供と一緒に調べればいいのです。加えて『ママが子供だったころは』といった実体験を交えて伝えれば、より印象が深く刻まれます」
さらに「電気ご使用量のお知らせ」を見ていこう。「前月」「当月」「翌月」という言葉からは「比較」というキーワードが導かれる。吉本さんが提案するのは、これをきっかけに、子供に電気の計量メーターを1週間に1回チェックをさせて記録を取り、グラフ化する方法だ。データの比較をもとに考えるトレーニングをしようというわけだ。
「夏休みの前と夏休みの間を比べるだけでも、とても面白い結果が出るでしょう。年間を通して記録をつけた結果、“どうしても冬はエネルギーに頼ってしまう”ことがわかり、家族でその対策を話し合ったというご家庭もあります」