集中して取り組んでいるか、将来性はあるか

守備範囲は広いけれども平凡な成績の人と、ある特定の分野で社内ナンバーワンの人とでは、後者のほうが高い評価を得るのがビジネスの世界です。「稼ぐ人」には何かしら「得意分野」があり、その得意分野に一貫して時間と労力を投資することで、誰にも負けないくらい深い知識とノウハウをもっています。

大手保険会社に勤務後、ファイナンシャル・プランナーとして独立したある女性経営者もそんな1人です。彼女は顧客ターゲットを医師に絞ることで、大きな成功を収めました。顧客を医師に絞ったのは、資産保有額の高い医師が優良顧客であることのほかに、多忙な医師に代わって資産管理を行うニーズが必ずあると考えたからです。顧客を絞り込んだ彼女の狙いは的中しました。

加えて彼女の戦略が優れていたのは、成功したあとも拡大路線を取ることなく、自分の強みに特化したビジネスを続けたことです。従来からの既存顧客を大切にすることで、質の高いサービスを提供し続け、顧客からの高い支持と安定した収益を得ています。医師専門という自分の強みに絞り込むことで、得意分野をさらに深掘りし、稼ぎ続ける仕組みへと深化させていったのです。

こうした一貫性を支えるのは、目的を超えた「使命感」といってもいいかもしれません。目的とは、たとえば彼女の場合、「医師専門のファイナンシャル・プランナーとして国内ナンバーワンを目指す」というものかもしれません。

ファイナンシャル・プランナーとして成功することで、自分の人生をより豊かにすることも立派な目的といえるでしょう。一方で使命感とは、「誰かを幸せにするためにこの商品を売る」「自分の能力を社会に役立てたい」といった思想的なものです。「自分はどう生きるか」の価値観にも深くかかわってきます。

使命感にもとづく仕事や勉強は、継続性や実現性において多大な威力を発揮します。多少の失敗や挫折に遭ったとしても、「誰かのため」という使命感があれば、簡単にあきらめることはありません。また、周囲を巻き込んだり協力を仰ぎたい場合にも、使命感にもとづく仕事や勉強であれば理解も得やすいでしょう。使命感があればこそ、ブレずに、やるべきことに集中できるのです。