継続する力があるか、損切りはできるか

「稼ぐ人」に共通する最も特徴的なことを1つ挙げるとすれば、コツコツと我慢強く継続する力です。こう書くと、「なんだ、そんなことか」と思う読者もいるかもしれませんが、継続することは意外に難しく、また継続できない人は、まずもって成功しません。

なぜ継続する力が大切なのでしょうか。

「稼ぐ人」も「稼げない人」も、社会人になったばかりの頃は同じスタートラインに立ちます。誰も初めから自分が何に向いているのか、自分の強みが何なのかを自覚しているわけではありません。1人前にできることなど何ひとつない状態ですから、会社から与えられる仕事を愚直にやり続けるしかありません。

ところが、コツコツとやり続けていくと、いずれブレークスルーする瞬間が訪れます。仕事に関する知識や経験が積み重なるにつれ、仕事の勘所やおもしろさに気づいて、自分なりに工夫できるようになる。周りから実績を評価されることで、自信にもつながります。

とはいえ、ブレークするまでの道のりは長く苦しいものです。なかなか成果が出ないと、「こんな仕事に何の意味があるのか」と迷いが生ずることもあるでしょう。もっと楽な道があるのではと、ほかに目移りすることもあるかもしれません。けれども考えてもみてください。

マリナーズのイチロー選手が、「自分はなぜ野球をやっているのだろう」などと考えていたら、あれだけのヒットは打てないはずです。迷う暇があったら、目の前の仕事に全力を尽くす。誰もがそうやって続けていくうちに、自分の強みに気づき、強みを伸ばしていくのです。

どんなことでも、一流になるまでには最低でも10年は必要だといいます。逆にいえば、10年間コツコツと続ければ、誰でも一流になれる可能性はあるということです。地道な継続の末にブレークスルーを経験できるかどうかが、「稼ぐ人」と「稼げない人」の分かれ目だといえるでしょう。

ただし1つ注意したいのは、継続と固執は違うということです。継続することは大切ですが、自分の方向性が間違っていたり、やってきたことが失敗だったとしたら、その状況に固執するのは賢明ではありません。冷静に状況を見極めて方向転換する柔軟さが必要です。そのような場合にも、前項で述べたような目的意識がしっかりしていれば、「ここで損をしても方向転換すべき」という適切な判断ができるはずです。