必修ゼミに職員が密着 
「靴磨き」まで指導する

大阪府八尾市にキャンパスを持つ大阪経済法科大学は、開学から40年の歴史を持つ伝統校だが、偏差値は経済学部44、法学部45と決して高くない。だが10年度は20人が大阪大学などの法科大学院に合格し、49人が公務員採用試験に合格した。卒業生の就職率は63.6%に留まるが、これは法科大学院への進学や公務員試験の受験のため「浪人」を選ぶ学生が多いからで、就職希望者の就職率は92.2%である。公務員合格も、同ランクの他大学が警察官や消防士で数を稼いでいるのに対し、国家公務員II種、東京都特別区職員、奈良県庁など、行政職にも実績がある。

実績の背景にあるのは、金沢星稜大学のCDPにも似た「Sコース」という特別講座だ。正課の授業とは別に、「法科大学院」「国II・地方上級」「警察・消防」「会計士」といった講座があり、学外から招いた専門学校の講師が講義する。受講料は無料。講義は5~6限の時間帯が中心で、実質的に大学内で「Wスクール」を無料で受けられるとあって、1年生の半数近くが受講している。実際に、前述の通り多数の公務員を送り出しているほか、10年度は「会計士講座」から現役合格者が誕生。このランクの大学では特筆すべき実績だ。

このほか有料の資格講座やキャリア支援講座も開設している。前者はパソコン技能やビジネス会計、後者は面接対策やビジネスマナーといったものだ。大学内で就職活動に関わるあらゆる講座を受けられる仕組みになっている。

経済学部でみずほインベスターズ証券に内定の立川大地さん。

さらに各種のゼミで、きめ細かな指導が行われている。1年生の「大学演習」は1クラス約20人。全員が履修するもので、これには「メンター」と呼ばれる2~4年生が1人参加して、後輩のサポートにあたる。2年生からの必修となる

「専門ゼミ」は専任教員による一般的なゼミだが、これにもキャリア支援課の職員が1人ずつ付き、進路相談や就活状況の把握を行う。さらに2、3年次には、外部講師による就職指導を目的とした「キャリアゼミ」がある。3年生の秋からは進路の決まった4年生が各ゼミに張り付き、後輩の相談を受ける。受講は任意だが4割程度の学生が参加するという。

みずほインベスターズ証券に内定している経済学部の立川(たつがわ)大地さんは、キャリアゼミの講師のアドバイスから、金融業界を志すようになった。ゼミでは、自己分析によって志望動機を掘り下げていったほか、ビジネスマナーについても厳しい指導があったという。