木造戸建は30~40年で限界が訪れる
土地の問題に加えて、建物の劣化の問題もあります。鉄筋コンクリート造のマンションは堅牢な造りになっており、適切な修繕をしていれば長く住み続けられて、資産価値も低下しにくいもの。それどころか、新築分譲時よりも値上がりする物件も多くなっています。
これに対し、木造の戸建は鉄筋コンクリート造よりも耐用年数が短く、資産価値が低下するスピードも速いです。木造の建物の法定耐用年数は22年。マンションと同じく、法定耐用年数=建物の寿命ではないものの、適切な修繕をしていなければ30~40年でボロボロになり、大規模なリフォームや建て替えを余儀なくされます。
これが鉄骨造や鉄筋コンクリート造の戸建であれば、耐用年数はもう少し長くなります。
ただ、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物は手掛けている施工会社がそれほど多くはなく、コストが高くなる場合もあるため、いまだに戸建は木造が大半を占めます。
木造であろうと、適切なメンテナンスを施し続けることで寿命を延ばし、100年でも住み続けることはできます。しかし、屋根の点検・葺き替えや外壁塗装などを定期的に行い、建物の状態維持に気を配っている人は、そう多くありません。
そうしたこともあって、中古の戸建の販売価格が新築分譲時を上回ることはほぼありません。「新築の戸建は、人が住んだ瞬間から資産価値が3割下がる」と揶揄されるとおりで、マンションと比較するとコスパは悪いと言えます。
地方では今でも「戸建のほうがトク」
マイカー保有率が低く、駅に近いマンションに住みたいというのはあくまで都心部のニーズであり、車が必須の郊外エリアでは、今でも戸建志向が強くなっています。地方都市にもタワマンが増えつつあるため、この価値観は徐々に塗り替えられていくかもしれませんが、当面はまだ戸建への引き合いも強いでしょう。
住宅メーカーも、郊外では新築の建売をローコストで建て、比較的手頃と言える価格で売るというおなじみの戦略を今も展開しています。手頃な価格に設定すれば、月々の住宅ローン返済額が近隣の賃貸マンションの家賃とそれほど変わらない、もしくはそれより安い金額に収まり、「それなら戸建を買ったほうがトク」という結論に落ち着きやすいからです。
ただ、それでも売れ行きが絶好調というわけではなく、大幅に値引きしてやっと売り切っているパターンもよく見られます。