車のレースに年間200万円
【年収】1000万円【貯金】0円【家族構成】独身
趣味のレースに貯金が消える。「付き合いで合コンには今でもよく行くけど、何歳までに結婚とかは考えていない」。
独身貴族の工藤瞬さん(41歳、経営者)。長身で、速水もこみちのような美形社長だ。
自分の給料は手取り60万円プラス経費。食事は大体外食でカード払いだ。カードの支払いが月20万~25万円。ローソンポイントやガソリンのカード割引もしっかりと使っている。会社関連のノンバンクへの返済が月10万円。港区に4000万円で購入したマンションは月15万円の返済だが、あと1000万円で完済する。立地がいいので賃貸に出せばローン以上の金額で貸せるという。
工藤さんは20代で起業、さぞや派手な生活を……と思いきや、コスト意識が高い。
「そこは経営者ですから。お金が貯まらないのは、年間200万円かかる自動車レースという趣味のせいなんです」
レースは30歳で始めた。子供の頃からの憧れをやっと実現できたのだ。当時はITバブルで会社の規模も今の2倍だった。
「常に危機感は感じていますよ。だから趣味を持つ代わりに、家族を持つことは封印しているのかもしれない。今でなきゃできないスポーツだから意味があるんです」
車はレース仕様のものと、私用のベンツの2台を所有、計10万円の駐車場代は経費で落とす。レース仕様車は3台目だが、相場がわかっているので、乗り換えても1台分の価格でおさまっている。すべてに対して「投資効率」を意識しているのだ。
花輪さんは「貯金がないのが気になりますが、経営者としては堅実。ノンバンクへの返済が終われば、貯金できるようになるでしょう」と分析する。アドバイスとしては、「都心に住んでいるので私用の車を手放してはどうでしょう」。
しかし、工藤さんは言う。
「車がないと、どうやってデートしたらいいのか……」
思うに、工藤さんは大きな資産を有効活用していないようだ。それは「モテ資産」である。工藤さんほどの男性なら、逆にバリバリ稼ぎ、しかも夢と生活を支えてくれるキャリア女性がいくらでも立候補してきそうなのに……。
「確かにそういう方もいました。でも僕がダメだった。毎日なんて電話できないし、女性に媚びも売れないんです」
【FPからの処方箋】車を1台に減らす
今回の取材で、「高収入貯まらん男」を生み出す元凶は「昭和の負の資産」だと実感した。「車と家を持ち、女を養う」という昭和の幸せが男性たちのクビを絞める。たとえ「働ける妻」など家庭の中に資産があっても、それを生かすには意識の転換という高い代償が必要なのだ。