「人口が減ったら、クマの数も減らすべき」

知事のいう通り、人口減によって里山の管理が行き届かなくなった空白地にクマが入り込むことによって、人間とクマの生活圏が重なりつつある。さらにいえば、ハンターの高齢化によって狩猟人口が大幅に減少したことで、クマの数は増え続けている。その結果、クマの生活圏は、ますます人間側に浸食しており、近年では「アーバンベア」という言葉もよく知られるようになった。

――こうした状況にどう対応すべきだとお考えですか。

結局、人間の生活圏とクマの生息域をきっちり分けることを徹底することだと思います。具体的には人間の生活圏とクマの生息域の間のやぶを払って、見通しをよくすることで、クマが人間側の生活圏に入ってくるのを防ぐ。

実際、アラスカなんかではかなり徹底してやってます。あそこもグリズリー(ハイイログマ)が生息していますが、ある地域では道路の両側15メートルから20メートルぐらいのやぶを綺麗に払ってます。それ以外の森林はグリズリーの生息域ですから、人間は原則立ち入り禁止にしている。人間とクマの生息域をきっちり「ゾーニング(すみ分け)」することで両者の接触機会を減らしているわけです。

これは日本でもできるはずです。少なくとも道路の両脇のやぶを払うことはできる。あるいはクマが移動に利用する河川敷のやぶを払う。本県でもそういった対策は予算を倍にしてやっています。ただ、そこらじゅうにあるやぶを全部払うことは不可能です。だとすると、後はクマの生息数を管理することも必要だと思う。人間の人口が減ったら、それに合わせてクマの頭数も減らすべきなんです。

写真=iStock.com/rai
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「クマを獲るっていうのは、そんなに簡単じゃない」

――知事は「クマを見つけたらすぐ撃つ」とも発言されてますね。

当然、絶滅するまで減らすのはダメだけど、ある程度、頭数を管理することは必要だと思います。秋田県ではクマの推定生息数と前年の捕獲頭数に基づいて捕獲頭数の上限を毎年決めています。ただし、昨年度は極端な大量出没が起こった結果、捕獲頭数が2300頭にのぼりました。今春、改めてコンピュータシミュレーションによるクマの個体数推定を行い、それに基づき上限を670頭に設定しています。

狩猟に関して言えば、もっとも山に入ってクマを獲るっていうのは、そんなに簡単じゃないんです。クマ撃ちの経験がないと、クマを見つけるのも難しい。