社会保険加入にはメリットも多い
103万円の壁は税金の壁ですが、次に待ち受けるのが社会保険料の壁である「106万円の壁」です。現在、以下の要件を満たした場合、社会保険に加入しなくてはなりません。
2.継続して2カ月超の雇用見込み
3.賃金月額が8万8000円以上
4.学生ではない(夜間の学生除く)
5.従業員51人以上の事業所
保険料の半分を会社に負担してもらいながら、将来の年金を増やしたり、傷病手当金や出産手当金など、給付が手厚くなるので、デメリットばかりではありません。年収が125万円を超えたあたりから手取りの逆転は解消します。
2016年に106万円の壁が出現して以来、段階的に社会保険の適用が拡大し、新たに90万人が社会保険の適用となりました。2024年10月以降は従業員51人以上の事業所に拡大されており、およそ20万人が新たに社会保険に加入すると推計されています(※4)。
※4 「被用者保険の適用拡大 参考資料集」第18回社会保障審議会年金部会(2024年9月20日)参考資料2
33万円の負担が生じる「130万円の壁」
106万円の壁の先には、一段と高い130万円の壁(※5)が立ちはだかります。夫が加入する社会保険の被扶養者から外れるラインですが、現在は従業員50人以下の事業所に勤めるパートタイマーが対象です。週30時間以上働くなど、社会保険加入の要件(※6)に該当しない限り、勤務先の社会保険には加入できず、国保と国民年金の保険料を支払わなくてはなりません。
年収130万円の場合、国民年金と国保の保険料は約33万円(40歳以上の場合)ですから、かなり重い負担です(自治体により異なる)。雇用保険料や住民税を差し引くと、手元に残るのは約96万円です。
週30時間以上働いて社会保険に加入した場合、年収が152万円になると手取りの減少はありません(※7)。しかし、あまり長く働けない事情があるからこそパートタイマーを選んでいるとすれば、なかなかハードルが高いと言わざるを得ません。
※5 60歳以上または障害年金受給者は180万円
※6 常時雇用されている従業員/週の所定労働時間が常時雇用されている従業員の4分の3以上かつ1カ月の所定労働日数が常時雇用されている従業員の4分の3以上である者
※7 40歳以上の場合(諸条件により異なる)