あじ、さんま、さば…大衆魚が高級魚化、牛肉と鶏肉の価格差拡大

生鮮魚介の主要魚種別の価格を見ると、単価がおおむね200円かそれ以上のまぐろ、たい、えびといった高級魚の価格が1980年代に上昇し、1990年代に低下しており、これが、全体の生鮮魚介の価格推移にむすびついていた。まぐろは2006年から資源量の制約などにより価格上昇に転じている。この結果、高級魚の中でも、まぐろと養殖や輸入が多いたい、えびの価格差が開いている。

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一方、単価が100円前後、あるいはそれ以下の回遊魚中心の大衆魚については、2000年代までは低下していたあじ、さんまを含めて漁獲量が減り、最近は全体的に価格が上昇傾向にある。

まぐろを除く高級魚が輸入や養殖の影響で価格が落ち着き、沿岸・沖合資源の減少で大衆魚の価格が上昇しているので、今や高級魚と大衆魚の価格差が大きく縮まり、かつてのような明確な差がなくなっている。

生鮮肉の単価については、牛肉が、貿易自由化前には300円以上、自由化以降には260円~270円程度で推移していたが、その後、2003年の米国のBSE感染牛発見に伴う輸入禁止、2008年の世界的な穀物高騰、2014年の消費税アップ、そして2022年のウクライナ戦争とことあるごとに段階的に上昇を続けている。

豚肉は、牛肉の半分近くの150円弱、鶏肉はそれより安く、100円弱で安定的に推移していたが、2008年には世界的な飼料高騰の影響で肉類、チーズが値上がりした。

このチーズに関してはそれ以降も高値安定が続き、2022年のウクライナ戦争による穀物高騰に円高の効果が加わり、牛肉、チーズ、卵などが全般的に値上がりしている。

こうした動きの中で、高級魚と大衆魚の価格差が縮小傾向であるのとは対照的に、生鮮肉やチーズ、卵の間では相互の価格差が広がってきている。