しかしこれは、雑誌を発行する雑誌社といった組織に対する反論・批判でもある。近年問題になっているのは、SNSやコメントなどであるが、それをするのは基本的に個人であり、マスメディアではない。近年は誹謗中傷に対して、発信者情報開示請求などはできるものの、まだまだハードルは高い。しかも、もし宮内庁や皇室がそれを行えば、個人に対して反論・批判することにもなる。象徴天皇制下において、団体である雑誌社に対する反論・批判も慎重になされるべきであるが、個人へのそれとなるとさらにハードルが上がることが予想される。個人攻撃になる可能性があるからである。それゆえ、未だに進められないのが現状だろう。
誹謗中傷に対してさらに燃料を投下してしまう可能性も…
しかも、宮内庁が何らかの対策を採ったならば、誹謗中傷に対してさらに燃料を投下してしまう可能性もある。
だからこそ、秋篠宮は今回、「『いいね』じゃない方の、逆の、あれをとにかくクリックするぐらい、それ以外私はなかなか思い付かないですね」と言ったのではないか。なかなか対策が思いつかない状況を吐露したと言える。
とはいえ、「いじめ情報」と秋篠宮が述べたのは、誹謗中傷のような発言をしている少数の人に向けて批判したのではないと思われる。ハッキリ言えば、そういう人達に対しては何を言っても無駄だろう。むしろ、発言したり書き込んだりしていない多くのサイレントマジョリティの人々に対して、自分たちはこう感じているということを理解してほしかったのではないだろうか。そして、この局面を打開したかったのではないか。そうした秋篠宮の思いが今回の記者会見からは見えてくる。