斎藤知事が何としても実現したい「肝いり施策」

今後、議論の焦点となるのが、県庁1、2号館の建物取り壊しに伴う職員「4割出勤」である。

斎藤知事は昨年3月、県庁の3つある庁舎のうち、1、2号館は阪神淡路大震災クラスの直下型地震で崩壊の恐れがあるとして、2つの庁舎の耐震改修を行わないで、解体・撤去する方針を示した。

筆者撮影
斎藤知事が解体・撤去の方針を示している県庁1、2号館

井戸敏三・前知事は、現在の県の敷地を活用して、新庁舎を建設する計画を立てていた。

斎藤知事は「元の計画は約700億円の事業費だった。現在の物価高騰から試算すると1000億円を超える。新庁舎建設は県民の理解が得られない」などとして、新庁舎建設を撤回した。

寝耳に水の県議会は強く反発したが、斎藤知事は「県民のために」を掲げて、「改革」を進めることを明言した。

その改革の柱が、職員の「4割出勤」である。

1、2号館の解体・撤去で行き場を失う約2500人の職員が、出勤を週2日として、残りの3日を在宅勤務とすれば、出勤率は4割程度となり、約1000人の出勤に抑えることができる。

「4割出勤」の職員約1000人は県庁3号館や生田庁舎などの既存施設に分散して働けば問題ないという。「全国初、兵庫県庁の挑戦」というキャッチフレーズを掲げて、斎藤知事は肝いり事業を何としても実現させたいのだ。

斎藤知事の「働き方改革」に県議からは不満が…

それに対して、自民党、公明党、ひょうご県民連合(立憲民主党系)は強く反発している。

ことし2月県議会代表質問で、ひょうご県民連合の上野英一県議は「知事から職員の4割出勤の方針が示されてから、これまで15人の議員が質問や指摘を行っている。その実現の可能性は、多くの県議だけでなく、多くの県職員の疑問や危惧の中に答えがある」などと、あらためて斎藤知事の進める「4割出勤」に疑問を投げ掛けた。

さらに「テレワークを実施するのは職員一人ひとりの意思によるべきで、決して命令するものではない。県庁舎のキャパ(収容能力)を理由に、半ば強制的にするものではない。職員の働き方の維持改善を図る観点から、多くの職員の声を把握、理解した上で対応していく必要がある」などと働き方改革の趣旨に反しているとも疑問を投げ掛けた。

これに対して、斎藤知事は「若い職員を中心に、ワークライフバランスの観点から、テレワークのさらなる活用をしてほしい、本庁職員だけでなく、地方機関でもどんどんやってほしいという声もあったぐらいで、課題解決を一つずつしていきたい」などと「4割出勤」を推進する姿勢を変えなかった。